今回のレビューは『Life is Strange2(ライフ イズ ストレンジ2)』。
プレイヤーの選択によって、物語が変化するシナリオアドベンチャーゲーム。
キャッチコピーは
ひとつの選択だけで人生は決まらないから
単純明快なゲームシステム
『ライフ イズ ストレンジ 2』のゲームシステムは非常にシンプルで、行う操作は基本的に2つのみです。
- フィールドを移動して、ヒトやオブジェクトを選択(会話)する。
- ストーリー進行中に提示される”選択肢”を選択する。
コマンド入力のような複雑な操作もありませんし、難解なゲームシステムは存在しません。
そのため、ゲーム初心者の方でも非常にとっつきやすいのがこのゲームの良いところです。
クリアまでの時間も15時間程度なので、さっと遊べてしまうのもいいです。
”逃避”から始まる物語
この手のゲームはとにかくストーリーが重要となります。
その肝心なストーリーですが、非常に良くできたストーリーでした。
以下、ストーリー序盤の大まかな内容になります。
ある日、不慮の事故により父親を失ってしまった「ショーン(兄:プレイヤー)」と「ダニエル(弟)」。
様々な要因も相まって、その場から逃げるように立ち去ることとなる。
2人だけとなった兄弟は自分たちの居場所を求め、父親の故郷であるメキシコの”プエルト・ロボス”を目指して旅にでる。
”旅”といえば聞こえはいいのですが、実際は”逃避”から始まる物語です。
そのため、物語には終始”重さ”が付きまとう展開となります。
意図しない方向に進む物語はまさに人生そのもの
とは言え、ずっと陰鬱とした雰囲気で進むゲームではありません。
「悪いこともあれば、良いこともある」
どこか”暖かさ”を感じさせるのもこのゲームの特徴です。
また、プレイ中に提示される”選択肢”は悩ましいものが多いです。
自分が正しいと思った選択肢を選んだとしても全く意図しない展開になることが多々あり、「あの時、ああすれば良かった」と後悔する場面も少なくありません。
けど、それが良いんです。
ゲームの中で、度々使われる言葉があります。
「過去に戻ることはできない」
「人生は不条理だ」
この言葉の”重さ”を『ライフイズストレンジ2』を通して疑似体験していく事となります。
所々で垣間見れるヒトの”善”と”悪”。そして”絆”
これは個人的な感想ですが、『ライフイズストレンジ2』は、
ヒトの”善”と”悪”を強く反映した作品
だ思いました。
主人公となる兄弟は、差別や偏見・他力的な功名心といった、”悪”の側面を持った人間に翻弄されることが多々あります。
逆に、意図しない形で”逃避”という手段を選んだ兄弟に、救いの手を差し伸べる人々も多く存在します。
苦しい状況の中、こういった”善意”を持った人々の優しさに触れることで、”無償の愛”を強く感じ、心温まるシーンも多く存在します。
この、ヒトの”善”と”悪”に多く触れることにより、兄弟の”絆”が強く深まっていく事を実感できるし、その成長をヒシヒシと感じ取ることができます。
そのためか、このゲームは没入感が凄まじく、プレイする手が止まらなくなることが多かったです。
対比がハッキリしている魅力的なグラフィック
正直言って、このゲームで描かれる人物のグラフィックは”苦手”でした。
「二世代くらい前の人物グラフィックじゃないか?」
なんて思っていたんです。
けど、実際にプレイしてから考え方が完全に変わりました。
確かに、登場する人物はある程度デフォルメされたグラフィックです。
それなのに、なぜか強く感情移入してしまうんです。
「一体なぜなんだ?」
と、結構悩みました。
そして、1つの結論にたどり着きます。
『ライフイズストレンジ2』は、デフォルメされている部分とリアルに描写されている部分の対比が非常にはっきりしています。
建物や風景といった部分は非常にリアルに描写されており、現実世界と遜色がありません。
一方、人物に関わるものは、額縁にある写真であろうとデフォルメされて描かれています。
なるほど……
ヒトの”感情”や”表情”は、自身の”想像力”で補うように作られてるのか
と。
だから、これほどまでに強く感情移入できるし、デフォルメされていても全く気にならない。
しかも、”想像力”で補う部分は人物のみに限定されており、他の部分は非常にリアルに描写されているから違和感を全く感じない。
「これは、凄いな」と思うとともに、毛嫌いしてた自分に少し反省しました。
”主張しない”音楽(BGM)
『ライフイズストレンジ2』の大きな魅力はまだあります。
それは、音楽(BGM)です。
特に、アコースティックギターで奏でられるBGMは『ライフイズストレンジ2』の世界観とピッタリで、哀愁漂う旋律(リフ)がその世界へ深く誘ってくれます。
他の音楽も同様で「主張しない」んですよね。
ストーリーがメインディッシュだとしたら音楽は添え物という位置づけで、その役割を最後までしっかり全うしているように思えます。
魅せる音楽ではなく、添える音楽
といった印象で非常に気に入っています。
ひとつの選択だけで人生は決まらないから
繰り返しにはなりますが、このゲームは”逃避”から始まるので”重さ”があります。
提示される選択肢も悩ましいものが多いですし、つらい出来事にも多々遭遇します。
ただ、それ以上に”ヒトの温もり”や”愛”・”絆”を深く実感できることも事実で、クリア後には多幸感に包まれます。
今一度、『ライフイズストレンジ2』のキャッチコピーを
ひとつの選択だけで人生は決まらないから
選択するのはあなた。
2人の兄弟の物語を、最後まで見届けて頂きたいです。
コメント
コメント一覧 (2件)
プレイヤーの選択により兄弟の旅路が大きく変わっていくという作品。
この手の作品はDetroit Become Humanにジャンルが似ているなと思いますがグラフィックやストーリー構成、ゲーム進行が大きく違うのでそれぞれの楽しみ方が出来そうです
シナリオアドベンチャーはストーリーにどのように感情移入出来るかが鍵になってきますね。
『Life is Strange 2』も『Detroit:Become Human』も、それぞれの味がありますよね。
共通して言えるのは、ストーリーが非常にいいので、止め時を失うくらい没入してしまうのが魅力的です。
crystalさんが仰るように、感情移入は大きな鍵ですよね。
両作品とも、それを見事に体現できてて素晴らしいと思います。