今回は『クアリー〜悪夢のサマーキャンプ〜』のレビューになります。
少し言い方は悪いかも知れませんが、このゲーム、想像以上に出来が良いです。
スリリングなホラーゲーム
『クアリー〜悪夢のサマーキャンプ〜』は、サマーキャンプを舞台としたホラーゲームです。
ニューヨーク北部の人里離れた「ハケット採石場」。キャンプカウンセラーを務める7人の男女はサマーキャンプ最後の夜を過ごしていた。キャンプ場にいるのは自分たちだけ。ひと夏の出会い、そして別れを惜しむかのように時はゆっくりと流れていく。しかし、事態は思わぬ展開へと発展していく…。
実はこのサマーキャンプを迎えるにあたって、いくつかおかしい点がありました。
- 「7人の男女」とあるが、本来は「9人の男女」で、2人来ていない(※この2人の話がプロローグとなる)。
- ハケット採石場のオーナー兼経営者であるクリスに「最後の夜は外に出るな」と強く忠告されていた。
クリスの忠告を破ったことで、サマーキャンプは惨劇の舞台と化すこととなります。
追われる様なスリリングな展開が次々と待ち受ける『クアリー〜悪夢のサマーキャンプ〜』。
この惨劇の夜を”生き残る”ことが出来るのでしょうか…。
ゲームシステム
『クアリー〜悪夢のサマーキャンプ〜』はアドベンチャーゲームで、プレイヤーの選択によって物語が変化するゲームシステムとなっています。
また、舞台となるハケット採石場でプレイヤーを動かしながら探索することも可能で、サマーキャンプで起こる惨劇の証拠を集めることも重要なファクターとなります。
悩ましい選択以外にも、スリリングな状況をより際立たせるQTE(クイック・タイム・イベント)もあり、画面上に表示された指示通りのアクションを起こし、危機を回避する行動あります。
アドベンチャーゲームと言っても、自由度が高く、まるでアクションゲームをプレイしているかのような錯覚に陥ることもあり、いい緊張感があります。
物語は「チャプター(章)」ごとに分かれており、各チャプターの終わると不気味な老婆が現れ、終了したチャプターのおさらい的な感想を述べてくれます。
また、探索の際に”タロットカード”を入手すると、次のチャプターで起こりうる未来を少しだけ覗くことができ、行動の参考に出来ます。
それぞれの状況によって操作できるプレイヤーが目まぐるしく変わるのも『クアリー〜悪夢のサマーキャンプ〜』の特徴の一つ。
そのため、各キャラクターへの「生き残らせたい!」という想いがかなり強くなります。
想像以上のボリュームに驚き
題材的に「サマーキャンプの最後の一夜」ということもあり、最初はあまりボリュームがないんだろうなと思っていました。
しかし、実際にプレイしてみると、想像以上にボリュームを感じさせます。
その理由は、プレイできる人数の多さにあると感じました。
サマーキャンプに参加している人数は7人+サマーキャンプに来れなかった2人。
この9人全てを操作し、生き残らなければいけません。
常に切迫しているようなスリリングな展開も非常に多い上に、失敗したくないドキドキのQTEもあり、緊張感に溢れているからボリュームがあると感じたのかもしれません。
また、噂によると『クアリー〜悪夢のサマーキャンプ〜』で用意されているエンディングの数は、何と100以上あるらしいです。
確かに選択肢も多く、「分岐確定」や「分岐更新」という表示も多く、かなり緻密なフローが裏で設定されているんだろうなと感じる事は多いです。
プレイするとわかりますが、1回クリアしても自分の思い通りにいかないので、モヤモヤが残り「もう1回プレイしよう」となるハズ。
心残りみたいな感情があるので、ついついプレイしちゃいます。
怖くないけどドキドキ感はある
あと、『クアリー〜悪夢のサマーキャンプ〜』はそこまで怖いゲームではありません。
日本のような霊的な怖さは全くないので、そこは安心してください。
言い方が合っているか分かりませんが、このゲームはスリルを味わうゲームだと思います。
「VISAGE」の方が10倍は怖いと思います。
ただ、一つ注意してほしいのは、ゴア的な表現が結構ありますので、そういった表現が苦手な方はやめた方が良いかも知れません。
このゴア表現が「SERO Z」に指定された理由かなと感じています。
気になった点
非常にスリリングで、かなり出来が良い『クアリー〜悪夢のサマーキャンプ〜』ですが、いくつか気になった点があります。
カメラワークが…
『クアリー〜悪夢のサマーキャンプ〜』は選択以外にエリアの探索も出来ますが、その際のカメラワークが結構悪いです。
「カメラとプレイヤーの距離感が良くない」と言ったほうが良いかもしれません。
状況によるんですが、プレイヤーを背後から捉えるカメラの距離が近すぎて、周りが半分くらいしか見えないこともしばしばあります。
特に、狭い場所では背後から捉えるプレイヤーとの距離がさらに縮まって、認識できる視野が非常に狭まります。
そのため、暗い場所に行くとあたり一面真っ暗になり、”位置”を見失います。
あと、移動の際にダッシュ(走る)が出来ないのも、地味にストレスです。
視認性が非常に悪い
また、こういったホラーゲームではあるあるかもしれませんが、時間的に夜の行動がメインとなるので、エリアの視認性が悪いです。
昨今のゲームでは、そういった暗さも兼ねてある程度まわりが認識できるように作っているものが多いのですが、『クアリー〜悪夢のサマーキャンプ〜』はそういった配慮があまり無いように思いました。
あまりの暗さに、どこを歩いているのかすら分からなくなることもしばしばあります。
また、前述したようにカメラワークもあまり良くないので「調べたい場所になかなか行けない」「”調べる”アクションを押せない」ということが多々あり、ストレスを感じる事もあります。
ストーリーや演出はかなり良いので、こういった点がもっと何とか出来なかったかなと悔やまれます。
最適化されてない字幕
あと、個人的に字幕表示はオススメしません。
というのも、字幕が最適化されていないからです。
プレイヤーが日本語で話している言葉と字幕で表示されているテキストが一致していないことが多く、話を理解するのに少し時間がかかることがかなりあります。
状況によっては、字幕の文字数が多く、さらにポンポンを間を置くことなく変わるので、もはや字幕が意味を成していないことも多々あります。
このゲームに関わらず、最近の字幕は”雑さ”が目立つので、そこは何とかしてほしいところです。
総評
最後に、『クアリー〜悪夢のサマーキャンプ〜』を簡単にまとめるとするなら、
つくりは粗いが、物語・演出はGOODなゲーム
という感じです。
多少ストレスを感じる部分はありますが、テンポよく進む物語の展開や意表を突く演出などは、まるで映画を見ている様な感覚になるほど非常に良いです。
「ストーリーだけ味わいたい」という人向けの”ムービーモード”や、QTEをすべて成功させる救済モードもあるので、自身のプレイスキルに応じてゲームを楽しめる作りもあり、非常に親切な設計となっています。
思っている以上に楽しめる作品であることは間違いないと思いますよ。
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