今回は『GetsuFumaDen:UndyingMoon(月風魔伝)』のレビューになります。
35年の時を経て甦った『月風魔伝』。
果たしてどのような進化を遂げたのでしょうか。
月風魔伝とは
ご存知の方も多いと思いますが『GetsuFumaDen:UndyingMoon』というのは、1987年にファミコンで発売された『月風魔伝』の続編になります。
ファミコンの『月風魔伝』は、フィールドマップから鳥居などに入り、横スクロールのアクションステージをクリアして進むアクションRPGです。
なかには3Dの立体的なダンジョンステージもあり、ファミコンの中でもバラエティに富んだゲームでした。
『月風魔伝』は私も子供の頃にかなり遊び倒したゲームの一つ。
ゲームボリュームもあって、様々なステージやボスが用意されていたので、3~4周はプレイした記憶があります。
当時はゲーセンに『源平討魔伝』というアクションゲームがあって、「外では『源平討魔伝』、家では『月風魔伝』」という”魔伝まみれのゲーム生活”を送っていたのを思い出します。
”地獄絵図”と”妖(あやかし)”の世界観
『GetsuFumaDen:UndyingMoon』の世界観ですが、非常に独特な世界観で構築されています。
グラフィックは、古代日本に描かれた”地獄絵図”の世界をそのまま切り取って来たかのような絵画風のタッチになっており、独特の不気味さを感じさせます。
また、出現する敵も同様に”物の怪(もののけ)”や”妖(あやかし)”と言った妖怪が跋扈(ばっこ)し、こちらも絵画風のタッチで描かれています。
もちろん、音楽も雅楽(?)を奏でる様な和風なテイスト。
それでいて、ボス戦になると一転してロック調になるような激しさを持ち合わせているので気持ちも一気に高揚します。
そのためか、プレイすると古代日本に伝承されていた世界観を巡っていく「絵巻旅行」のような感覚に陥るんですよね。
この世界観、私は結構好きです。
「やられたら初めから」のハクスラ2Dアクション
では、肝心のゲームシステムを簡単に紹介していきます。
『GetsuFumaDen:UndyingMoon』のゲームシステムですが、2Dのアクションが基本となり以下の3つの要素が加わっています。
- ローグライク
- ハック&スラッシュ
- やられたら初めから
ローグライク
ローグライクというのは、いわゆる「自動生成型のステージ構成」で、プレイするたびにステージの形や敵・アイテムの配置が変わるシステムです。
1つのステージも広く、それが毎回変化するので常に新鮮な気持ちでプレイ出来ます。
とは言え、そこまでガラリと変わらないので「今回も似たようなステージ構成だな」と感じる事が多かったです。
また、全体のステージ構成もバリエーションに富んでいて、自分の進みたいステージをある程度選択することが出来ます。
ステージによっては「道中が難しくボス戦が楽なステージ」や「道中が簡単でボス戦がきつめ」「道中もボス戦もきつめ」などあるので遊びの幅も広いです。
ハック&スラッシュ
攻略中に取得する武器やアイテム(素材)は完全なランダムになります。
特に、武器に関しては「段位」というグレードがあり、段位が上がるごとに攻撃力や性能も上昇するので状況を見極めながら常に武器を変えていく楽しみもあります。
ちなみに、この段位は特定の場所(人物)でお金と素材を消費することで上げることも可能。
また、武器ごとに設けられたスキルの開放も出来たり、素材を消費して新たな武器を開放することも出来ます。
やられたら初めから
これが一番の特徴なんですが、『GetsuFumaDen:UndyingMoon』というゲームは
やられたら有無を言わさずステージ1からやり直し
なんですよ。
そう。
PS5の『リターナル』のようなゲームシステムなんです。
しかも、やられるとそれまで集めた素材や武器・強化したステータスも無くなってしまいます。
これを聞くと気持ちが萎えそうですが、意外とそうでもありません。
というのも、1つのステージをクリアするまでの長さが約10分ほどですし、ローグライクとは言えやればやるほど進めやすくなります。
また、やられても解放した武器や武器スキル、特定のステータスに関しては恒久的に持ち越せるので”徐々に強くなっていく”という仕組みなんですよね。
そのため『リターナル』よりも救済措置が多く、進めやすい印象があります。
気になったところ
ジャンプにクセあり
個人的に非常に気になったのは「ジャンプの操作性」です。
2Dアクションゲームは操作がシンプルなだけに、ちょっとした違和感を感じやすいんですよね。
攻撃アクションなどは良いのになぜかジャンプだけ操作性が悪く感じたんです。
ボタンを押してもすぐに反応しないような…。
テンポの悪さにクセを感じる部分がありました。
これが改善されればかなり遊びやすくなると思いました。
出来ることならファミコンのゲームシステムを踏襲してほしかった
あと、ファミコンの『月風魔伝』をプレイしていて個人的な思い出もあるからかもしれませんが、出来ればあの頃のゲームシステムを踏襲してほしかったという想いが少しだけあります。
たしかに、今回のような「ずっとやり続けてしまうゲームシステム」も面白いです。
ただ、ファミコンの時のようなRPG要素を踏襲してじっくりと進めていけるようなゲームシステムを思い描いていたために、自分が想像していたものとズレがありました。
あるいは「広大な地獄絵の世界を彷徨う”メトロイドヴァニア”でも良かったのかな」なんて思ったりもします。
総評
とにもかくにも、35年という年月を経て復活したのはとても嬉しいことでした。
ファミコン黎明期を支えたゲームが現代の技術で蘇るのは個人的に喜ばしいことで、今後もそういった展開には期待したいところです。
次は『源平討魔伝』のリメイク作品なんか期待したいですね(ちょっと難しいと思いますが)。
以上、『GetsuFumaDen:UndyingMoon』のレビューでした。
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