今回は「無限騎兵 (AI LIMIT) 」のレビューとなります。
思った以上にしっかりとしたアクションRPGでした。
ゲーム概要:終末世界を舞台にしたアクションRPG

「無限騎兵」はSense Gamesが開発しCE-Asiaがパブリッシャーを務めるソウルライクアクションRPGです。
インディーのレーベルが単独で開発したようにも感じますが、実はPlayStation China Hero Projectの支援を受けていることが特徴で、中国のゲーム開発の実力で世界に挑戦する意欲的なタイトルであることが伺えます。
再生する力を持つアンドロイドのような存在「機兵(きへい)」であるアリサが主人公で、モンスターが跋扈(ばっこ)する都市の遺跡を探索し文明が滅亡した謎を解き明かすことがこのゲームの目的。
ちなみに、「アリサ」という名前は通りがかりの住民に名付けられたもので、そもそも名前もないというのが最初の設定です。

ゲームプレイ:攻めこそ最大の防御

「無限騎兵」の最大の特徴は、スタミナの概念が存在しない代わりに導入された「シンクロ率」という独自のシステムを中心とした攻撃的なゲームプレイにあります。
通常、この手のゲームは攻撃や回避といったアクションはスタミナを消費しますが、「無限騎兵」ではスタミナを気にすることなく流れるような連続攻撃が可能となっています。
そのため、場合によっては「ずっと俺のターン」的なデビルメイクライのような攻めも可能です。
画面下部に表示されるシンクロ率は、敵に攻撃を与えることで上昇し逆にダメージを受けると減少。
そして、このシンクロ率が高いほどプレイヤーの攻撃力が増加するという独自の仕組みになっています。
つまり、積極的に敵に攻撃を仕掛けることが結果的に戦闘を有利に進めるための鍵となるわけです。
しかし、シンクロ率は単に攻撃力を上げるだけでなく、ガードや敵の攻撃を受け流す「Cフィールド」(パリィ)、遠距離攻撃の「スペル」、そして各武器固有の「武器スキル」といった様々なアクションを実行するためのリソースとしても消費されるのも独特。
そのため、無計画に攻撃を連発するだけではシンクロ率が枯渇し防御や特殊攻撃といった重要なアクションが取れなくなってしまいます。
常にシンクロ率の残量を意識し、攻撃と防御のバランスを考えた立ち回りが求められという結構戦略的な要素が〇です。
戦闘で使用する武器は多種多様で、プレイヤーは同時に二種類の武器を装備し状況に応じて瞬時に切り替えることができます。
武器ごとに攻撃速度、威力、リーチなどが異なり、中には高威力の代わりに動作が遅い武器や手数で攻める二刀流の武器、さらにはドリル付きのユニークな武器も存在(ドリル滅茶苦茶強いww)。
攻撃中に武器を切り替えることで、シームレスにコンボを繋げることも可能でこれが決まると結構気持ちいいですよ!!
防御面では、シンクロ率を消費して展開するシールドが正面からのほとんどの攻撃を防いでくれます。
そして、特筆すべきは「Cフィールド」。
敵の攻撃に合わせてタイミング良く発動することでパリィを誘発し、敵を大きく怯ませることができます。
成功すれば致命的な一撃である「ファタルストライク」を叩き込むチャンスが生まれ、さらにシンクロ率も大きく回復するため積極的に狙っていきたい重要なスキルです。
攻撃手段としては、通常攻撃や強攻撃に加えて武器ごとに設定された強力な「武器スキル」や左腕の変形フレームから放たれる多彩な「スペル」が存在。
初期に入手できるレールガンは扱いやすく、ゲームを進めることで火炎放射やミサイルといった強力なスペルも使用可能になります。
これらの特殊攻撃はシンクロ率を消費するため、ボス戦などの状況を見極めて効果的に使用する必要があるので注意したいところ。
キャラクターの成長要素としては、「クリスタル」と呼ばれるアイテムが経験値と通貨の役割を担っていて、ソウルライクなゲームと通じる部分があります。

敵を倒すことで入手できるクリスタルはマップに点在する「晶枝」と呼ばれる場所で使用し、アリサのステータスを強化したり武器を強化したりすることができます。
晶枝は回復ポイントとしても機能し、起動した晶枝間をテレポートすることも可能というソウルシリーズの”篝火(かがりび)”的な役割を果たします。
また、晶枝では「刻印」と呼ばれる装備品を付け替えることで基礎ステータスをさらに向上させることも可能。
死亡時には所持しているクリスタルの一定割合を失いますが、全ロストではないため比較的気軽に再挑戦できる点はソウルライク初心者にも嬉しい配慮といえます。
さらに、装備する武器や防具によってアリサの見た目が変化するため、性能だけでなく好みのスタイルで冒険を楽しめますよ。
ちなみに、私は「メイド服に大鎌」というギャップ萌えスタイルが好きでしたww
ストーリーとキャラクター:失われた記憶と世界の真実

ここで、簡単にストーリーを紹介しましょう。
物語の舞台は謎の液体「ゾル」によって文明が崩壊した遠い未来。
プレイヤーは記憶を失った機兵アリサとなり、自分がなぜここにいるのか、何のために戦うのかも分からないまま荒廃した世界を彷徨うことになる。
人類最後の都市「ヘヴンズウェル」を目指す巡礼者たちや、同じように使命を帯びた他の機兵たちとの出会いを通して、アリサは世界の真実、そして自身の存在意義を探っていく。
道中では、ゾルから生まれた異形の存在「ドロビト」や、敵対的な生物「ネクロ」、そして機能不全を起こした機兵など様々な脅威が待ち受ける 。
アリサは無口ながらも可愛らしい容姿とは裏腹に、過酷な運命に立ち向かう強い意志を持つ主人公として描かれています。
視覚と聴覚:退廃的な美しさ

「無限騎兵」は、アニメ調のキャラクターデザインと、退廃的でありながらも美しい世界観が最大の特徴です。
地下の下水道、入り組んだスラム街、そして湖に浮かぶ空中都市まで、様々なロケーションが細やかに描かれており探索するだけでも楽しめます。
細かいマップ表示はないですが、ソウルシリーズのように複雑でありながらも脳内補完できるバランスなので立体的にイメージしやすいと思いますよ。
主人公アリサのビジュアルは魅力的で、装備によって外見が大きく変化するためコレクション要素もあって楽しいです。
荒廃した世界の寂寥感や、戦闘の激しさを表現するBGMや効果音がゲームへの没入感を深めてくれます。
ファミ通のクロスレビューでゴールド殿堂入りを果たしていることからも、その総合的なクオリティの高さが伺えしれる作品です。
主観的分析:挑戦と達成感の狭間で

前述したように、「無限騎兵」のゲームプレイはそのユニークな「シンクロ率」システムによって常に攻撃的な姿勢を維持することが推奨されます。
スタミナ切れを気にすることなく流れるように繰り出せる連続攻撃は非常に爽快で、敵の攻撃をギリギリで回避し反撃に転じる際のレスポンスの良さもGOOD。
強力な武器スキルやスペルを駆使し強敵を打ち倒した時の達成感は格別で、何度も倒されながらも敵の行動パターンを見抜き攻略法を見つけ出す過程はまさにソウルライクゲームの醍醐味ですよね。
やり込み要素も意外と豊富で、多種多様な武器や装備の収集キャラクターの育成、隠されたアイテムの発見など、長く遊べる要素が満載です。
推定プレイ時間が30時間程度とされていることからも、そのボリュームの大きさが伺えます。
難易度に関しては、ソウルライクというジャンルが示す通り決して易しいものではないです。
しかし、死亡時のペナルティが比較的軽微であることや、強化要素が充実していることから根気強く挑戦すれば必ずクリアできるバランスになってますのでそこまで高難易度ではないと感じてます。
「シンクロ率」システムはこれまでのソウルライクゲームにはなかった斬新なアイデアだし、より攻撃的なプレイスタイルを推奨することで新たなゲーム体験を提供している作品ともいえます。
最終評価:挑戦を求める全てのアクションゲーマーへ

「無限騎兵」は革新的な戦闘システムと歯ごたえのある難易度、そして魅力的な世界観が見事に融合した完成度の高いソウルライクアクションRPGだと思います。
特に、「シンクロ率」システムが生み出す、攻防一体となったスピーディーな戦闘は、これまでの同ジャンルのゲームにはない新鮮な体験を与えてくれること間違いなしです。
- ソウルライクゲームが好きで、新しい刺激を求めているプレイヤー
- 歯ごたえのあるアクションバトルに挑戦したいプレイヤー
- ポストアポカリプスな世界観や、アニメ調のグラフィックに惹かれるプレイヤー
- キャラクターのカスタマイズ要素を楽しみたいプレイヤー